私の鍋や器が人に寄り添い、食事を楽しむ少しの助けになれれば嬉しいです。

三重県伊賀市丸柱。
大昔、琵琶湖の底だったこの土地から土鍋に適した耐火度の高い土が採れます。この丸柱で、明治の初めごろから続いている土鍋の工房に私は生まれ、子供の頃にはたくさんの職人がいて、型を使った土鍋の量産を家業としていました。
そして
私が25歳で5代目を継いでから、型ではなくロクロ引きの土鍋を、今までとは違う新しいデザインで作ってみたいと、ひとり試行錯誤を始めたのです。

それが私の土鍋作りの始まりです。

私の鍋は、昔ながらの天然の土を使い、伝統的な土鍋作りの手法で一点一点制作しています。釉薬や絵付けは、デザインにとってもちろん大切な要素ですが、何より大事にしているのは、鍋の形。美しい鍋の形は大きな対流を起こし、美味しい料理を生み出してくれるからです。

美しい形は、美味しい料理を生み出す

家族や仲間と囲む鍋料理だけでなく、1人で楽しむ小鍋、スープや煮物、シチュー、土鍋ご飯など、様々な形の土鍋と、鍋周りの器、酒器、また土鍋を作ってきた技術を生かして、土瓶や急須、ポット、さらには瓶掛けや火鉢などにも力を入れています。

稲葉直人 展示会情報